いちばんべったこ

tabi noti dokusyo tokidoki guti

気分はおすわりの日

とうとう読み終えた。
もっとグレイといっしょにこの物語の中に浸っていたいのに、もうグレイはいない。


グレイをぼくらの前に、まるですぐ手の届くところにいるように感じさせてくれるのは、伊勢英子さんの文章力。


例えば、こんな一節。


武蔵野の住宅街はどこもしずかなのだが散歩のつれづれに家の立て替えがあちこちでくりかえされているのを発見する。昨日まで建っていた家が一夜にして廃材だけの平たい土地になっていたり、先日まで雑草のぼうぼうとおいしげる緑の空き地がコンクリートの駐車場に生まれかわっていたりする。しかし、ある一角の畑だけはいつ行っても畑だった。


グレイの物語は終わったけど、グレイを思う気持ちはいつまでも続いていくと思う。