竹田まゆみ作。汐文社刊。
広島の己斐が舞台。戦争の頃の物語。
クズもの集めの六さんの飼い犬がロク。
心臓弁膜症を患う主人公が、六さんが大阪に帰ることになり、ロクをのら犬にさせることはできないと飼うことになる。
8月6日の朝、発作が起こりそうになった時、ロクが来て遊びに誘う。一面の菜の花畑でロクと過ごす。
原爆の爆風で家が傾きガラスが飛び散った時も、ロクの吠える声で縁側に出て助かる。
どちらも、本当のことのように思えたが、探しに行った時にはもうロクは死んでいた。
死顔は幸せそうで、体を怪我してもいなかった。
戦争さえなければ、ロクはもっともっと可愛がってもらえて、もっともっと幸せになれたのにと思う。