第5巻をようやく読み終わりました。
川村さんは、1977年にこの物語に取り組んで、5巻で9年目になる。
ぼくの中にも、この物語の世界が根付いてきた。
フキやあや、庄作の家族がすぐそこにいるように感じる。
フキの人生の中では、比較的穏やかな時期から始まる。土にまみれて畑を耕す毎日。作物もよく実る。あやには赤ん坊が生まれる。
3人の息子たちも、それぞれに成長していく。
恭之助が「こおっと」と言うところでは、あっ、うちのおばあちゃんがよく言ってたなと懐かしくなった。
川村たかしさんは、自分の伝えたかったことを恭之助のセリフにして言わせている。
フキは学校に呼び出されて辰太郎のしでかしたことで注意を受けたのに、そのことを辰太郎にはだまっていた。
それを知った辰太郎が、
なんで子どもをひっぱたいたりせんのやろ
と、恭之助にたずねる。
そのときの、恭之助のこたえ。
「お説教ってのは、半分はいっているじぶんが安心するためにたれるのさ。やれやれこれで責任をはたしたと思ってしまう。ところがだまってのみこんでしまうのは、子どもにまかせて考えさせるってことだろうが。・・・つまり、じぶんの人生は手つだってもらうんじゃなくて、じぶんで生きてくってことだろう。ほかの人をあてにできない。これがおおぜいの死ぬのを見てきた母さんの哲学なのさ。」
第一次世界大戦が終わり、不況の時代がやってくると、石狩川が氾濫したり、ニシン漁で借金した知り合いの保証人のハンコをついたりして、また困難がのしかかってくる。
第6巻も、目が離せなくなりそうだ。