いちばんべったこ

tabi noti dokusyo tokidoki guti

キオクがない!

いとうみくさん作。

病院で気がつくと、心配そうに覗き込んでいるおばさんが誰だか分からない。

どうしてそこにいるのかも、分からない。

それどころか、名前を言おうとしても名前が出てこない。

 

日本語は喋れるけど、それまでの記憶が全てなくなってしまっていた。

 

どうやら、自転車で坂を下っていて車とぶつかったらしい。

記憶喪失。

 

そのほかは元気なので、すぐに退院が決まり、家につれ帰られる。

自分の部屋が分からない。

案内されて入ると、汚部屋だった。

プールから帰ってきた弟が、ぼくを見てハッと固まってしまう。

両親もなぜかぎこちない。

学校に行っても、友だちはみんなぼくを避ける。

 

自分はいったいどんなヤツだったんだろう。

今はうまくやっているが、以前の自分はどうも周りに好かれていなかったようだ。

 

記憶の断片が蘇ってくると、自分のことをおれと言っている。

記憶が戻らない方が幸せなのか。

全部リセットされた方がいいのか。

 

しかし、だんだんと過去が明らかになっていきます。

 

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