久住昌之さん作。
線路に沿って伝い歩きする記録。
「大人になるほどしみじみわかるようになるのは、豆腐のうまさと水田の美しさだろう。」
この一文にノックアウトされそうになりました。
17の路線が取り上げられています。
流鉄流山線
内部線
美濃赤坂線
の17路線です。
どれも、一緒に歩いているような気分になります。
乗ったことのある路線は、記憶している景色が蘇ってきます。
ぼくが乗ったことのあるのは、9路線でした。
この人の旅の仕方を真似したいと思いました。
「ゴトゴト走るローカル線にのんびり乗っていると、旅は目的でなく過程、物でなく時間だと、しみじみ思わされる。」
「こんな山奥の無人駅で、真っ昼間1時間20分ひとりで過ごすのも、やろうとしてできることではない。
「腹をくくる」と言うのは、こういう決断をすることだろう。急に気が楽になる。」
「思わぬアクシデントで、1時間を浪費、大分駅に戻って歩き始めたのは午前11時だった。
少し焦る。だが焦ると、無意識に歩く速度が速くなり、早く疲れたり足が痛くなる事は経験上よくわかっている。それに周囲に対する注意力や観察力が薄まり、面白いものや美しいものを見逃す。
何でもマイペースが大事で、その方が本来の力を長く持続でき、リラックスした集中力も途切れない。不慮の事態にも、柔軟に対応できる。失敗も味方にできる。」