いちばんべったこ

tabi noti dokusyo tokidoki guti

それは誠

これもとてもよかった。

乗代雄介さんの3冊目。

 

物語は、主人公の独白で始まる。

修学旅行から帰ってきて、その出来事を書き記すために、翌日から学校をズル休みする主人公。

記録は、修学旅行の班決めからはじまる。

その日休んだ主人公は、残りものの寄せ集めの3班になる。

2日目の自由行動でどこに行くかの相談で、観光名所でもなんでもない日野市と答える。

それは、家を出て行ったおじさんに会うという個人的な目的のため。

不思議な3班の人間関係から、男子4人が揃って日野市に向かう。

それは学校に提出した計画表とは違うコース。

女子たちも協力して、先生たちにバレないようにGPSや電車での移動をうまく誤魔化す。

それぞれにやるせない事情を抱えながら、この2日目の自由行動で3班の一人一人が愛しくなってきます。

 

おじさんの家の近くの谷ノ上横穴墓群の斜面で、枯葉を掛け合いながらおじさんの帰りを待つ場面がいい。

表紙の絵は、日野駅へ帰る時に見た夕焼け。

 

この本で、「悍ましい」の読み方を初めて知りました。

 

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