吉田桃子さん作。
ちひろはずっと犬を飼いたいと思っていた。
仲良しグループのはるなちゃんとこむぎちゃんは犬を飼っている。
自分もポメラニアンやトイプードルのようなかわいい犬がほしかった。
ある日ようやく犬がやってくることになった。
ちひろは、チワワが来ると信じて疑わなかった。
ところが、やって来たのは狐のような雑種の犬だった。
しかも17歳で、片目は真っ白でアンナという名前も決まっていた。
両親の恩師が歳をとり飼えなくなったので、お世話をすることになったのだった。
そのことを受け入れられなくて、受け入れられない自分のことも嫌で、落ち込んでしまうちひろ。
そんなちひろを周りは気長に見守る。
やがて、ちひろはアンナが大好きになる。
すぐに別れがやってくるが、アンナと過ごせたことがえいえんのたからものだと思えたちひろは、穏やかに見送ることができた。
ちひろの成長が感じられる次のところを読んだ時、ジャムからも「えいえんのたからもの」をもらったなと思えて、こちらまで穏やかな気持ちになりました。
あーあ、さみしいな、さみしいなって、わたしは、それをがまんしない。
ただ、さみしいって気持ちをじーっとみつめてみる。
心で思っていることと、口で言うことがばらばらになって困っていたころのわたしは、さみしくなったり、つらくなったりすると、それをむりに消そうとして、だけど、うまくいかなくて、自分で自分がいやになって、怒ったりふきげんになったりしていた。
さみしいな・・・という気持ちをみつめていくと、その向こうになにがあっても揺らがないものが見えてくる。
せれは、アンナとの「えいえんのたからもの」だ。
だれかに「だいじょうぶ」って言われなくても、自分で自分をだいじょうぶ、と思える力。
さみしい気持ちはすーっとしずかになっていき、あれ?わたし、だいじょうぶかもしれない。・・・うん、だいじょうぶだって気持ちになっていくんだ。