読んだら辛い気持ちになるだろうなと思いつつ、それでもやっぱり読まずにはいられなかった。
田辺アンニイさん著。
この人が犬猫保護活動を始めたのは、犬からだったんだ。
最初は、犬なんて大嫌いだったそうだ。
それが大きく変わってゆく。
美容室で犬の可愛さを知ってから、犬のことを調べていくうち、年間65万頭もの犬猫が殺処分されていることを知った。
何かしなければと署名活動を始めたが、川原のホームレスに悲惨な環境で飼われているたった1匹の犬を助けることができなくて、自分のしていることの意味を問い直す。
そして、不遇な犬たちを幸せにするために本気で取り組み始めた。
当時の夫と別れ、自分で仕事をしながら、犬猫の世話をする暮らしを選んだ。
川原のホームレスのリーダー、ドンさんが犬たちを虐げる話は、心が痛んだ。
どんなにがんばってもどうにもならないと思っても、その度に投げ出さずにまたがんばり続けた。
それはこの人が、弱い立場の犬や猫を本当に愛していたからだ。
愛なんてどこか嘘っぽく感じることが多かったが、この人の気持ちは愛と呼ぶにふさわしい。
自分からは言わないし、きっとはぐらかすと思うけれど。
台湾に生まれ2年生で日本に来て、言葉も不自由だった時からの体験が、弱い犬猫を愛しむ気持ちにつながってるんだろう。
けれど、今この人の日本語はとても魅力的で、語りも上手だ。
『ノラネコあがりのスターたち』の前史を知ることができて、うれしい。
やっぱり、読んでよかった。