長谷川まりるさん作。
不思議でちょっと不気味で、最後は切なくなる物語でした。
子どもの頃の「ぼく」は、友達が少なかった。
休み時間に全員外で遊べと言われても、ドッジボールに加わることができず、門のそばを流れるかすみ川で過ごした。
そこで、人魚をみつける。
人間の子どもよりは小さく、鮒よりは大きい。
生きているのか死んでいるのか分からない。
ただ一人の友だちの千秋とともに、大塚山の小さな池に運んでこっそりと世話をする。
人魚は元気になり、河童のように目だけ水の上に出して、二人が来るのを待っている。かすみと名付けて、いろんな食べ物を運んでやる。
やがて事件が起こり、「ぼく」は、かすみを手放さざるをえなくなる。
月日は流れ、大人になったぼくは帰省の折、またかすみ川に足を伸ばしてみる。