いちばんべったこ

tabi noti dokusyo tokidoki guti

アドリブ

佐藤まどかさん作。

読んでよかったー。

すごい物語でした。

 

何度か選びかけたけど、手に取らなかった本です。

なぜかというと、音楽を極める話はとても面白くのめり込むんだけど、自分の世界とはかけ離れた世界だと思ってしまうから。

船に乗れ! しかり、蜜蜂と遠雷 しかり、よろこひの歌 しかり。

どれもすごくいい物語で、遠い世界だった。

 

さて、このものがたりの舞台はイタリア。

ユージは、国立音楽院のオーケストラのフルート奏者の1人に選ばれる。

そこから物語が始まるんだけど、次の章ではフルートとの出会いと、国立音楽院のフルート科予科への奇跡のような合格が描かれる。

 

フルートに全く触ったこともないところから、サンディーニ先生に付いて吹けるようになっていくところや、プロになる道を目指すか趣味として吹くかの分かれ道で高価な楽器を買うお金がなくあきらめるところなどの場面がよかった。

 

読みながら、パンの笛やシランクスなどのフルートの演奏をユーチューブで聴いた。

フルートの演奏を見るなんて、この本に出会わなかったら見ることなかっただろうな。

 

いつも手の届かないほど前をゆくサンドロに、ユージが一度だけ反論するところがある。

「きみに足りないのは、テクニックじゃない。努力でもない。闇だよ。不安で泣いたり、コンプレックスに苦しんだり、差別されて惨めな想いをしたり、誰かに片思いをしたり、孤独で死にそうになったりしたことなんてないだろ?きみの心にはそういう闇がないから、人の苦しみや悲しみがわからないんだよ!つまり、それが音楽だろう?」

 

この物語は、作者の娘さんの体験がモデルになっているそうだ。

 

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