朽木祥さん作。
第1部は北イタリア、第2部は広島が舞台でした。
主人公のエリーは、お母さんがイタリア人で、お父さんが日本人。
時は2011年。東日本大震災が起こった直後の東京。
エリーは、放射能汚染を心配する両親にイタリアに避難させられる。
暖かく迎えてくれたお母さんの親族たちは、第二次大戦で経験した悲惨な体験をエリーに伝える。
120センチのバーを通過した子どもは、有無をいわせずガス室へ送られた。
1943年にファシスト党が倒れ、連合国側に立った北イタリアをドイツが占領し、ユダヤ人狩りをした。
エリーの親族たちはそれに抵抗した。パルチザンとして活動したサラやパオロたちは、捕まって虐殺された。
遠い昔の話ではなく、今でも語り伝えている。
日本に戻ってきたエリーは、夏休みには父の故郷である広島へ行く。
おじいちゃんがとつとつと被曝体験を語る。亡くなった真美子おばさんのことも初めて聞かされる。
この物語は、忘れてはいけないことをどう伝えていけばいいのか、という問いに、朽木さんが出した一つの答えなのだと思いました。