寺地はるなさんの5冊目。
どうしてこんなすごい言葉や文章が書けるのだろう、とため息が出る。
開けているようで静かに閉じている町
喋っている言葉は、すべてひらがなに聞こえた。
会釈をしたら、ごく自然に目を逸らされた。
家族の様子を見ながら料理ができる、と思ってダイニングテーブルをカウンターにくっつける配置にしたが、食事をしている夫を見ながら洗い物をするのが、今ではほんのりと苦痛だ。
この家で生まれ育った。和室の襖の絵も、戸棚に並ぶ皿やグラスも、慣れ親しんだもののはずなのに、赤の他人の家に行った時よりもずっと希和を居心地悪くさせる。