いい物語でした。
八束澄子さん作。
書かれてはいなかったけど、舞台は多分広島なんだろうな。
油のにおいがする小さな工場が集まった地域。
主人公は、さやか。
家族は父と兄と、工場に住み込みで働いている杉田。
お母さんは、さやかが生まれてすぐに出て行った。
代わりにやってきて、何も聞かずにここで働かせてくれ、と言ったのが杉田だった。
さやかは、小さいころから世話してくれている杉田に憧れている。
杉田がおやっさんと呼ぶので、さやかもいつの頃からか父のことをおやっさんと呼ぶようになった。
親友のセイラにだけは、話を聞いてもらっている。
セイラからは、学級委員の綾小路がさやかに好意を持っていると聞かされて鬱陶しい。
過労でお父さんが倒れ、兄も家出してしまい、杉田が1人で工場を支える。
猫の小太郎まで、ケンカして大怪我を負う。
兄が戻ってきて落ち着いた時、杉田は過去の罪を償うために出ていくことになる。
言いたいことがいっぱいあるのに言葉で
伝えきれないさやかの、杉田に宛てた手紙に胸を打たれます。
8年が過ぎて、杉田がさやかの家を訪ねてくる場面で物語が終わります。