文学のピースウォークの中の一冊。
新日本出版社刊。
中村真里子さん作。
1964年、静岡の川のある町が舞台。
主人公は三姉妹の末っ子。
2人のお姉ちゃんはしっかり者で、どちらも学級委員や生徒会長をするような子だったが、木綿子はちがった。
いつの頃からか橋の下に住んでいる浮浪者の和也さんと親しくなる。
そして、戦争のことを自分なりに考えるようになる。
書き出したのは、次の部分。
「お国のために戦うって、敵をやっつけるってことでしょう。
そして、戦争に勝つことでしょ。私たちみんな、そういうふうに教育されてきたんだもの。女学校では、竹やりを持って、敵が上陸してきたら突き殺す練習したんだよ。学校で敵を殺しなさいって、そう教えられるの」
大勢の中でたったひとりみんなとちがっても、あたしは自分の考えをちゃんと持っていられるだろうか。だけど「自分の考え」って、どこから生まれてくるんだろう。本を読んだり、まわりの人の話を聞いたりしてできてくるものだとしたら、学校でも家でも町でも
「戦争に行って戦うのが当たり前」だと言われていたら、それがあたしの考えになるかもしれない。「非国民と言われた人たちは、どうやって「ひとりの考え」を思いつき、それを持ち続けることができたんだろう。