カレン・クシュマン作。
原題は、The Midwife's apprentice
midwifeとは、産婆さんのこと。
舞台は、中世のイギリス。
物心ついたときにはひとりぼっちの女の子が、寒さのあまり堆肥に潜り込む場面から描かれている。
自分の名前も知らなくて、ブラット(がき)と呼ばれていじめられる。
さまよい込んだ魔女のようなおばあさんの家では「クソムシ!」と名付けられる。
やがて、アリスという名前を自分につける。
おばあさんジェーンは、薬草や呪文を使って赤ちゃんを取り上げる産婆さんで、アリスは下働きになる。
でも、自分は役立たずだと村を出て、宿屋で働く。
そこで出会った学者のリースに、「宿屋の娘さん、きみはいったい何をもとめているんだ?」とたずねられ、一晩考えてこう答える。
「あたしがほしいのは、自分の居場所があって、おなかも心もみちたりた安らかな人生です。」
ニューベリー賞受賞作。