いちばんべったこ

tabi noti dokusyo tokidoki guti

10歳の放浪記

上條さなえさんが自分の幼少期を振り返った物語。

読み始めてすぐ、あれどこかで読んだことがあるなあと所々で感じた。

クラスの爪弾きものの子と仲良くなることや、何かと味方になって助けてくれる江森二郎。

お父さんが学校に迎えにきて、そのまま家には帰れず、がおちゃんに別れも告げられずに夜逃げしてしまったこと。

全部、この人の作品の中にも出てくる場面だ。

お母さんは戦争で夫を亡くし、再婚した相手が早苗のお父さんだった。仕事がうまくいかずお金にもルーズで酒に溺れてゆく。

お母さんは、あんたのお父さんは、とお父さんの悪口を早苗に投げつける人だった。

九十九里の親戚の家に預けられ、明日必ず迎えにくるからと去っていったお母さんは何ヶ月も帰ってこなかった。毎日、バスの着く時間にバス停まで行って、母の帰りを待った。

父が引き取りに来て、池袋のドヤ街で暮らすことになる。

散髪屋に住み込みで働いているまっちゃんが早苗の暮らしを聞いて、自分のアパートに一晩泊まりにおいでという場面には涙を堪えきれなかった。

 

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