極悪人ばかりが収容されている監獄島アルカトラズ島が舞台。
ホントにある島だし、アル・カポネもホントにここにいた。
でも物語の中身は、題名から思い浮かぶのとは全然違った。
ナタリーの面倒を見ている主人公のムースが、島のルールに縛られながら、なかなかうまくいかない友達や家族との関係に折り合いをつけていく物語。
姉のナタリーは、重い自閉症。
当時はまだ自閉症って言葉もないくらいだから、お母さんはいろんな方法を試して治そうとするんですがいい結果は出ず、ごはんも作れないほどの鬱状態。
刑務所長の娘パイパーの悪巧みに振り回されたり、お父さんお母さんとの関係に悩んだり、どうして自分だけナタリーの面倒を見なけりゃならないのかと投げ出しそうになったりしながら、最後は自分でなんとかしなきゃとアル・カポネに手紙を出します。
著者は、4人兄弟の末娘で、上の姉が自閉症。このお姉さんが、ナタリーのモデルです。
ナタリーがパニックを起こした時の様子がとてもリアル。
「悲鳴をあげて、暴れまくっているナタリーを抱きおこす。あごにナタリーの頭ががーんとぶつかった。できるだけそっと、敷物のすみにナタリーをおろす。ナタリーはむちゃくちゃに暴れて、ぼくのももを蹴飛ばし、耳を殴った。」
同じような経験をぼくもしたなあと、懐かしくなりました。
ジョンソンというありふれた苗字が嫌いで、なんとか変わった苗字の人と結婚したかったそうです。
ジェニファー・チョールデンコワ作。
おすすめの一冊です。