パドマ・ヴェンカトラマン作。
この人はインドの人。
19歳でアメリカに移住した。
ロードアイランド州というところに住んでいるそうだ。
聞いたことないなと思ったけど、建国当初からある伝統ある州みたい。
ただ、広さが滋賀県くらいしかないらしい。
物語はとてもよかった。
ラクに出会えてよかったと、読み終えて思う。
主人公はラクの世話をしている。
ラクは主人公の姉だ。障害がある。
カーストの底辺にある身分の家族で、お父さんは帰ってくると怒鳴ったりお母さんを殴ったりする。
とうとう、ラクや主人公のヴィジにまで手を出すようになったので、ヴィジはラクを連れて家を出る。
バスに乗って町に着いたが、寝るところがない。
古い橋の上に防水シートが張られた場所を見つけ、そこでアルルとムトゥと知り合う。
野良犬のカティも入れて、四人と一匹で暮らし始める。
ゴミの山でビンやダンボールなどのお金になるものを拾って、その日の食べ物を何とかする。
でも、ヴィジには夢があった。誰も相手にしてくれなかった学校で、たった一人だけ自分のことを大切にしてくれた先生のような先生になること。
家出をした事で、夢はどんどん遠くになってゆく。
インドでは、何百万もの子どもがホームレスだという。幸せを求めているのは、ぼくらとなんにも変わりがないのに。
訳者の田中奈津子さんは、『ぼくたち負け組クラブ』や『天才ルーシーの計算ちがい』を訳した人だ。
次の言葉にはっとさせられた。
「今まで、ラクの動きがほかのみんなよりおそいのが、かわいそうだと思っていた。でも今日、ゆっくりは速いよりいいと思えた。」
「それにあの小さな炎たちは、とても美しい。しんと静まった教会で、音楽を聴いているかのように踊っている。まるで生きているようだ。ろうそくなりの生き方で生きている。」