安井清子さん作。
この本を読んでほんとによかった。
読まなかったら、ラオスのことは知らないままで一生を終わったかもしれない。
ラオスという国の名前は知ってても、ラオスのことはほとんど何も知らないということに気付かされた。
この本は、ラオスの山の中の村に図書館をつくり、その後もビエンチャンに住みながら活動を続けている著者の記録です。
その村はモン族の村で、当時は電気も電波も通っておらず、子どもたちも貴重な労働力で、薪を集めたり水汲みもしていた。つい10年ほど前のことです。
図書館建設中も、たった2か月の赤ちゃんが亡くなりその葬儀もすまないうちにまた赤ちゃんが亡くなる。その後すぐまた3人目の赤ちゃんが亡くなってしまうという状態だ。
でも人情に厚く、よそ者も家族のように扱ってくれ、図書館建設に力を貸してくれたサイガウ爺さんやツィー婆さん、ニア・ノーボーたちのことは忘れられません。
週二回図書館で働くことですら、男社会であるモン族の伝統からは逸脱する。
畑仕事や家事子育てで自分らしさを生かせなかった女性たちに、図書館は希望の光となる。
家族の諍いのために図書館で働けなくなり、自殺してしまったマイワァの話はやるせない。
それでも図書館の仕事を受け継いでいく人々はたくましい。
トゥルにスタッフにならないかと誘われたマイのセリフには、心を打たれました。
「トゥルに誘われた時、最初はためらったのよ。今でも毎日、畑仕事、家事、子育てに追われてじゅうぶん忙しいのに、これ以上できるのかしら?って。そしたらトゥルが、「何やっても、忙しいのは一緒よ。でも、生き方は自分で変えようと思わなければ、変わらないよ」って言ったの。本当にそうだなって思ったの」
今の日本と同じだなと感じました。
どんな時代にも、道を開いていく人たちがいます。
図書館を作り活動を続けていくことは、世の中を変えていくことにもつながるんだなと思いました。