黒川裕子さん作。
『となりのアブダラくん』の人だ。
舞台は千葉県の銚子。
主人公たちは、キャベツ畑の中を歩いて下校し、明日花さんのカフェに寄る。
『星の王子さま』も『ポッサムおじさんの実用猫百科』もそこで知った。
4月20日、午後5時25分、3420gの玉のような赤ちゃんが生まれた。それが主人公の明音。
パパとママから、世界中に響き渡る明るい、明るい音になれ、という思いを込めて名付けられた。
小さい時は、パパみたいな人と結婚しなさいねとママから言われた。
そして、中学に上がる直前、パパとママは離婚した。
物語はそこから始まる。
坂上明音から戸松明音になった主人公は、自分の名前に馴染めないでいる。
ママは、テーブルの下に引きこもり、ネコの清少納言を抱いて暮らしている。
中学校では、名前をからかったりせず名前を大切にするために、SUNさん運動を始めるという。
SNSで星の王子さま同盟を作った明音たちは、名札に自分の名乗りたい名前を書いて登校する。
当然校則違反だとクレームがつき、学校投票するところまで行く。
ケンカしてしまった彩瑛ちゃんが、投票の時に胸に「イ・チェヨン」の名札をつけて視線を合わせてくれた場面では、涙が溢れそうになった。
自分らしくありたいと声を上げた主人公たちが、眩しく思えます。