アイシャ・サイード作。
舞台はパキスタン。
アマルの家族は、父さん母さんと3人の妹の6人。
もうすぐ赤ちゃんが生まれる予定で、男の子が生まれることを期待されていた。
しかし、生まれてきたのはまた女の子で、母さんは塞ぎ込んで寝込んでしまう。
アマルは学校が楽しく教師になるのが夢だったが、家事いっさいを任され学校には行けなくなる。
女性は、チャードルを付けなければならず、1人で出かけることは許されない。手のかかる妹たちを連れていかなければならない。
ひとりになる時間がほしくて、市場に出かけた。たった一つ残っていたザクロを手に入れて喜んでいたのに、車に轢かれてしまう。
車から出てきた男は、邪魔なところに立っていたアマルの方が悪いと言う。そして、転がったザクロを母の好物だからほしいと言う。
アマルは拒否したが、このことが男の怒りを買った。
周りで見ていた人は、黙ってしまって誰もアマルの味方になってくれない。
男はこの村を支配しているカーン一族のジャワッドだった。
父さんは、世の中は不公平なものだと言い、母さんもいっときの腹立ちで軽率なことをしてはいけないと言う。
でも、何も悪いことをしていないアマルがひどい目に遭わされて、気分が悪くなった。
数日後、ジャワッドの手下が家に来て、アマルを屋敷の下働きとして連れて行くと告げる。
ほとんどの人がカーン一族から借金をしている。アマルのお父さんも例外ではなく、逆らうことはできなかった。
スーツケースに荷物を詰め、携帯電話を持たせてもらい、屋敷に着いたら連絡するのよと母さんに言われたが、着いてすぐにジャワッドに取り上げられてしまった。
屋敷に連れてこられて働かされている人は何人かいて、新入りのアマルはいじめられる。
それでも、正しいことを曲げようとはしない。
家に帰れず、一生この屋敷で働きつづけなければならないかもしれない。
これが、パキスタンの現実だ。