メアリー・ダウニング・ハーン作。
ふとしたことから、ホームレスと関わろうとするケリーの物語。
レポートのテーマを決めかねていたケリーは、図書館で座り込んでいるホームレスに目をつける。
はじめはふざけた気持ちで声をかけるのだが、ホームレスのウィームズさんを傷つけてしまったことに気づき、何とか役に立ちたいと思うようになる。
でも、ウィームズさんは、なかなか心を開いてくれない。
表紙の絵で、いつか湖の桟橋で2人が心を開いて語り合う場面を楽しみに読み進めたが、現実は厳しく二人が打ち解けることはなかった。
ウィームズさんは、ベトナム戦争の傷をずっと引きずったままで、誰とも関わることを拒んでいたのだ。
ホームレスと関わることに両親も友達も反対して、ケリーは孤立する。ウィームズさんも離れていって立つ瀬がない。
戦争の傷の深さを思い知らされる。
お父さんもベトナム帰還兵だが、ホームレスを見下している。
そんなお父さんに反発して、ケリーが考えたのは、次のようなことだ。
もし自分の時間とエネルギーをすべてお金もうけに使っていれば、それはほかのたくさんの大切なことをないがしろにしているということにならないだろうか。
ウィームズさんが交通事故で亡くなって、ケリーはワシントンのベトナム戦争記念碑にウィームズさんの記憶を残そうとする。
いつも肌身離さずかかえていた二つのゴミ袋を持っていくのかと思ったが、図書館で描いたウィームズさんの絵だった。