1942年、空き家になってたお店に何ができるのか、小さな私は楽しみにしていた。
やがてできたのは、靴屋さん。
ボロボロの靴を修理したり、新しい靴を作ったり。
タスケさんは、革で自分の靴を作り、棚の一番上に置いて大切にしている。
私も赤い靴を作ってもらいたくて、お父さんにお願いする。
ようやく許してもらったけど、もう赤い革なんてない。
タスケさんは、ある日店を閉めて出かける。
帰ってくると赤い靴を持っていた。神戸まで行ってわけてもらったという。
作ってもらった靴は、横でぽっちんと止めるかわいい靴。
大事に大事にして、結局一回しか履かなかった。
タスケさんも戦争に行くことになった。
そのあと、空襲で私の街は焼けた。靴のことも、いつのまにか忘れてしまった。
高校生になった私は、ある日小さなお店を見つける。
靴屋さんではなかった。
でも、あの靴屋さんのことを突然思い出した。
ラストのシーンに希望が見えた。
角野栄子さん作。