まずは題名に「うん?」と惹かれ、次に作者が佐藤まどかさんだと知り、借りて読みました。
のっけから、ピンチに立たされます。
主人公の家は、昔から続く老舗の靴屋さん。
11階建のビルと古いビルの間に挟まれた三階建の建物がおうち。
その建物と隣の古いビルを潰して大きなビルを建てようと、土地開発会社の社員がしつこくやってきます。
オーダーメイドの靴屋さんなんて、今時はやらないと言われます。
おまけに跡を継ぐはずだった主人公のお兄ちゃんが急に家出してしまいます。
しかし、マエストロと呼ばれている3代目のお祖父さんは、土地も売らないし、仕事もやめません。
さて、題名の「ノクツドウライオウ」のなぞがすぐに解き明かされます。
それは、お店の古い看板に書かれた文字。
上下2段で「靴の往来堂」と右から書かれているのですが、左から読んだ小学生が「ノクツ ドウライオウ」と読んでしまったのです。
物語は、その人に合わせて丁寧に作られた靴が、履いた人に幸せをもたらす展開です。
主人公の嫌いだったクラスメイトがマエストロの弟子になり、後継もできそうな予感です。
次の一文を書き抜きました。
イタリア人はみんな陽気だとか、
歌やサッカーが好きだと思い込んでいたおじいちゃんは、イタリアに実際に住んでみて、それが大いなる誤解だということを思い知った。
ヤコポさんは無口で、歌を口ずさんだことはいちどもなく、サッカーには見向きもせず、いつも仕事をしていた。