失恋して道端でグダグダに泣いていた主人公に、道端で泣くのはやめなさい、そんな惨めったらしい真似はやめなさい、不幸な自分に酔うのはやめなさいと告げ、おまけに自分の店で働きなさいと言ったのが菫さん。
菫さんの店は、かわいい小物を扱う雑貨屋さん。
店の名は、ビオレタ。スペイン語ですみれのことだ。
菫さんの店には、陳列棚に棺桶が並んでいる。棺桶と言っても、手のひらに乗るサイズで宝石箱のようなもの。
たまーにやってくるお客さんは、自分の気に入った棺桶にいろいろなものを入れたがる。
その人たちの思いを読むのが、なぜか興味深い。
菫さんのお店を通して知り合ったのが、ボタン屋さんの千歳さん。
千歳さんと、淋しさについて語り合うところがあります。
千歳さんは、淋しさは、人の標準仕様じゃないかな、と言う。
人はみんな寂しいのが当たり前で、だからこそ一瞬でも分かり合えたら喜びが大きいんだと。
作者は、寺地はるなさん。
今この人の本にハマっています。
と言っても、まだ2冊目ですが。
佐賀県出身で大阪在住。
この人の本を読むと、普通に生きていることに自信が持てます。