いちばんべったこ

tabi noti dokusyo tokidoki guti

理科準備室のヴィーナス

戸森しるこさん作。

この人は、追っかけていきたい作家さんだ。

1984年、埼玉県生まれ。

その人の表情まで見えるような文章に、思わず唸ってしまう。

例えば、こんな感じ、

ワインを一口飲んで、ママは言った。少し寂しそうに、だけどとても嬉しそうに。

 

学校で泣いたことがある人と、泣いたことがない人に分けて、主人公にその違いを分析させる場面もハッとさせられる。

 

中学に入って、誰も友達はいらないが、理科のひとみ先生に惹かれてしまった主人公。

理科の時間にじっとひとみ先生を見ていると、その向こうに自分と同じようにひとみ先生を見ている男子に気づく。

やがて、金曜日の放課後の理科実験室での、3人だけの時間が日常になっていく。

ひとみ先生への憧れと、独占欲と、嫉妬に、気持ちが揺さぶられる。

心の中の想いと、発する言葉と、行動とが、目に浮かぶように描かれる。

ラストのページの絵にまで、物語は続いていく。

 

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