安田夏菜さん作。
主人公はひより。
ひよりとおじいちゃんの独白で、物語が進んでいきます。
ある日突然警察から電話があって、いとこのハルくんを引き取ることになります。
ハルくんは発達障害で、人とうまくコミュニケーションが取れません。
毎日同じ時間に決めたことをしないとパニックになります。
おじいちゃんは怒鳴ってばかり。
家族の関係はギスギスします。
ひよりは通知表に、「人の気持ちがよく分かり、場を明るくする」と書かれるような子でしたが、友達のためと思ってしてあげたことが、相手からしたら余計なお世話だったことを知りすっかり自信を失います。
自分を変えようと挑戦した中学受験にも失敗し、入部した書道部にも馴染めません。
おじいちゃんは、自慢だった孫が受験に失敗したことを励ますつもりが、言葉足らずで孫との溝を深めてしまいます。
おまけにハルくんの面倒を一手に引き受けていたおばあちゃんが骨折して、今までやったことのない家事をしなければならなくなります。
家族みんなが、お互いの気持ちを分かっていなかったことに気づき始めます。
人の気持ちがわからないのは、ハルくんだけじゃなく、自分たちだってそうだ。
どうしたらそれを乗り越えられるのか、傷つけ合いながらも、再生していくお話です。
読んでいる途中に、卵焼きが作りたくなりますよ。