長い長い物語でした。
でも読んでよかった。
結末部で、今までの出来事がすべてつながり、パーッと霧が晴れるようにすっきりとした気持ちになります。そして、じわっとうれしくなる。よかったなあと思える。
ジェイムズ・ベネガン作。リバプールのトム・マレンは赤ちゃんの時にデパートのおもちゃ売り場に置き去りにされ、里親の家を転々として暮らしている。
万引きは朝飯前、サッカーのコーチからカンフーの手ほどきも受けている。
学校の校舎建て替えのために掘られた穴からたくさんの棺が見つかったことから、トムは1847年の世界にタイムスリップする。
そこで自分そっくりのタリとその妹ハルの家族と出会う。
場所は、アイルランドの西北、メイヨー県のアキル島だった。
そのころアイルランドではジャガイモが育たず、大飢饉に見舞われていた。
ハルの家族も地主にお父さんを殺され、ダブリンからイギリスに渡りアメリカに行こうとする。
しかし、痩せ衰えた体で長い道のりを歩き通すことは困難だった。
トムは、自分の時代に帰りたいという思いをもちながら、この家族といる時がいちばん心が落ち着くと感じる。
歴史的出来事を題材に、トムが逞しくなっていく。