いちばんべったこ

tabi noti dokusyo tokidoki guti

愛国少年漂流記

ぼくの本の選び方はいい加減で、好きな作家の名前によく似た名前の人の本を手にとってしまうことがよくあります。
宮下奈都さんや佐藤多佳子さんを知ったのもそうやってでした。
この本も、宮脇俊三さんを探していて出会いました。

中学を卒業して、サイゴンにあった南洋学院という学校に進路を決めた著者が、アメリカの潜水艦の魚雷攻撃にあいながら苦労の末サイゴンにたどり着くまでが第一章。
第二章は、南洋学院で先輩たちと過ごした一年ちょっとの期間。
第三章では、戦況の悪化で徴兵されラオスの山奥で終戦を迎えるころまでが描かれています。
京都で暮らしていた中学時代、「アメリカのような大っきい国と戦争したら、日本は負けまっせ。」と言ったという先生。
京都弁でこういうエピソードが出てくるのもうれしい。

著者も、日本が戦争する国へと変わっていきつつある危惧をいだいてこの物語を書いたらしい。
読み応えのある本でした。