いちばんべったこ

tabi noti dokusyo tokidoki guti

体に染み込ませるように

白川静さんの番組をビデオにとって見ました。
印象に残ったのは、甲骨文字を「体に染み込ませるように」トレースし、その数は2万枚にも上った〜というくだりでした。これこそ本当の研究だなあと思いました。
すぐに結果を出そうとせず、じっくりとその世界に浸ってみる。
今読んでいる本にも、同じようなことが書かれていました。将棋の米長邦雄さんの『不運のすすめ』という本の中です。
詰め将棋の本に、江戸時代に著された『将棋無双』と『将棋図巧』という2冊があるのですが、プロ棋士を目指す人は、これをすべて解くという勉強をするそうです。
あるとき羽生善治さんが米長さんに言ったそうです。
「ようやく、あの200題に挑戦することの意味が分かりました。あれは、どれも実戦には現れない芸術品で、勝つためには何の役にも立たないものだけれど、一日30分でも1時間でも、前日に考えたところから先を考えていくことを通じて、将棋と自分がいつも一体になっていることが大事だ、その将棋への情熱とか思いが大事だ、という意味だったんですね」。