いちばんべったこ

tabi noti dokusyo tokidoki guti

かずさんの手

佐和みずえさん作。

かずさんは、主人公みかのひいおばあちゃん。

96歳。

畑での野菜作りをやめてから、ソファーやベッドで休んでいることが多くなった。

少ししか食べなくなり、お粥を二口でもう食べられなくなる。

手はしわしわだ。

描かれた挿絵まで、うちの母の姿を思い起こさせる。

 

学校から帰ってきたみかに、しわしわの手じゃなくて、つやつやしてしわひとつなかったときもあるんだよ、と話始める。

21歳の時、赤紙が来てふるさとの病院から、長崎の海軍病院に行くように命令を受ける。

そして、8月9日、新型爆弾が長崎に落とされ、カズさんの病院にたくさんの人が運ばれてくる。

みんなひどいやけどで、水、水と言って亡くなっていくが、おかあちゃん、おふくろ、おっかあと言いながらそれぞれかずさんの手を握った。

薬もなくて、お母さんだよと言うことしかできなかった。

 

今まで誰にも言わなかったが、みかにだけ伝えて、カズさんは亡くなってゆく。

 

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セカイの空がみえるまち

何度も涙が溢れそうになりました。

藤純子さん作。

翔が住むその街は、新大久保。

学生時代に上京した折、一泊だけした安宿が新大久保だったのを思い出しました。

穴蔵のような部屋で、窓を開けると隣の家の壁でした。

藤崎空良と高杉翔の章が交互に描かれて、物語が進みます。

久々にいい物語に出会えてうれしい。

 

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吹雪の中の列車

マト・ロヴラック作。

まだユーゴスラビア時代のクロアチアのお話。

作者は、定年まで小学校の先生をした人だそうです。

子ども同盟の議長に選ばれたリューバンと、それに逆らうベーロの対決の物語。

汽車に乗って町まで遠足に行くも、帰りに汽車が雪溜まりに突っ込み動けなくなる。

子どもたちは、2派に分かれて対決する。

絵は、ささめやゆきさん。

 

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