いちばんべったこ

tabi noti dokusyo tokidoki guti

老人病棟

江川晴さん作。

この人の文章はするすると読めるのです。

図書館で「100年の作家」というテーマで展示されていて、懐かしくて読みました。

 

主人公は、鮎子。

東京M区で訪問看護師をしている。

病院勤務に疑問を感じて辞め、義母の介護を経て、まだ草創期の訪問看護師となる。

身分もまだきちんと保証されない中、呼び出されれば夜中でも患者の家に駆けつける。

時間外でも、患者の顔を見に行くこともある。

もちろんそれがいいことだとは思っていないが、患者さんや家族を放って置けないのだ。

担当する患者は脳梗塞で倒れ言葉を話せない老人や、電車に轢かれ両足を切断したヤクザのような男、遺産相続でもめるがん患者など、大変な人ばかり回される。

患者を励ますだけでなく、家族の相談相手としても頼りにされる。

自分の母の最期もうまく介護できなくて、悩みながらも仕事を続ける。

大きな病院から婦長としてきてくれと言われたときも、自分の病棟は訪問看護婦として自転車で走り回るこのM区だと言い切る。

 

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