アラン・グラッツ作。
読み終わるのに、長い時間がかかりました。
それは、読み進めるのがとても辛い物語だから。
そのため、読みやすいように工夫がしてあります。
3つの物語が少しずつ進んでいくようにしてあるのです。
ヨーゼフの物語、イサベルの物語、マフムードの物語というように。
ヨーゼフは、1939年ナチスの迫害を逃れキューバに向かう船に乗るユダヤ人の少年。
イサベルは、1994年に食糧危機でキューバから小さな手作りの舟でフロリダを目指す少女。
マフムードは、2015年激しい内戦のシラアのアレッポからトルコ、ギリシャを通りドイツを目指す少年です。
3人とも、家族とともに難民となって平和に暮らせる場所を探す旅をするのです。
どこに行っても歓迎されず、持ち物と言えばゴミ袋にわずかばかりの衣類を入れたものだけ。
明日どうなるのかわからないまま、待つしかない諦めの気持ち。
海を渡る時の不安。
イサベルはフロリダ海峡を、マフムードは地中海を、嵐に翻弄されながら渡りました。
イサベルは親友を亡くしてしまいますし、マフムードは赤ちゃんのハナと生き別れてしまいます。
いいことはほとんど起こらず、悪いことばかりが続きます。しかも、状況はどんどん悪くなって行きます。
辛くなったら次の場面に切り替わるので、なんとか読み切ることができました。
マフムード家族がドイツにたどり着いて迎えてもらったホストファミリーのおばあさんが、ヨーゼフの妹だったというので、少しホッとさせられます。(ヨーゼフとお母さんは強制収容所へ送られた)
日本は難民にとても冷たい国です。
他の国が何百万人も受け入れているのに、日本が難民認定したのは20人ほど。
せめてこの本を読んで難民のことを知らねば、と思いました。