ロマの難民少年のものがたり。
グニッラ・ルンドグレーン作。
きただいえりこ訳。
作者は、教師をしながら移民や少数民族の物語を書いているスウェーデンの人。
この物語は、事実に基づいて書かれているそうだ。
主人公の境遇に比べて、自分がどれだけ恵まれているのかに今更ながら気づかされる。
ラミッツはドイツで生まれドイツで暮らしてきたが、家族に永住許可が下りず父母の故郷コソボに強制送還される。
お父さんは、ぼくより一つ若い。
コソボは、紛争でめちゃくちゃになっていた。
争いはまだ続いていて、セルビア人とアルバニア人の争いにロマも巻き込まれ、お父さんが連れ去られてしまう。
そのままコソボにいることができずに、車の荷台に隠れて家族で脱出する。
着いたところがスウェーデン。
難民宿舎で不安な月日を過ごすことなる。
ロマであるというだけで、普通の生活ができず、差別され戦争に巻き込まれてしまう。
まだドイツで平和に暮らしている時も、クラスで集金箱がなくなると、ラミッツとトルコ人のメメットのせいにされた。
ルーマニアからやってきたロマの物乞いについても、何回か描かれていた。
今、大人になったラミッツは、スウェーデンで難民の支援員になっているという。
この本を読むまでは、そういう仕事があることさえ知らなかった。
遠い国の出来事と感じてしまうのが申し訳ないけど、応援したい。