いちばんべったこ

tabi noti dokusyo tokidoki guti

ある愛の寓話

村山由佳さんの本。

読み終わって、びっくりした。

なんと今年発行された本だった。

ずっと昔に出た本だと思って読んでいました。

 

6つの物語の短編集。

「晴れた空の下」は、読み始めたら目が離せなくなった。だんだん記憶を無くしていく女の人の物語。はっきり書かなくて、読者に気づかせるところが村山さんのいいところですね。気づいた時にハッとさせられます。

「同じ夢」は、ジョンという犬が出てくる。美女と野獣の見方が変わる物語です。

「世界を取り戻す」は、どこかで読んだ気がした。獣医さんを取材した主人公の編集者が、自分の行動に呆れながら余命わずかのネコを引き取る物語。そのネコが足を突っ張って息を引き取る場面は、ジャムのことと重なった。

「グレイ・レディ」は、ぼくは知らないが有名で高価なカゴが主役。やがて最良の持ち主と出会い、その人の棺桶と共に焼かれる。

「乗る女」は、村山さんが鴨川にいた時に飼ってはった馬を思い描きながら、書きはったんだろうな。

「訪れ」は、過去を回想する登場人物が、シベリア抑留時代を語る場面が衝撃だった。

どれも心に沁みました。

 

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