初っ端から引き込まれて、目が離せなくなりました。
乗りに行った学研都市線のなかで、ほとんど読んでしまいました。
普段は通らない路地を通ったときに、ふと聞こえたネコの鳴き声。
駐車場の車の下にそのネコはいました。
後ろ足がだらんとなってる。
たくさんのキセキが重なって、バス停2つ向こうの動物病院へ運び込むことができた。
後ろ足は、その場で断脚。もう神経がダメになっていたから、麻酔もなしで。
壁の方を向いて、ひたすら目をつぶっているその子ネコ。
もう片っ方の足もうじが湧いて切らざるを得なかった。
そして、手術してプレートを入れた前足の一本もダメになった。
助かりますかとの問いに、獣医さんは頷いてくれなかった。
それでも、食欲は旺盛で、生きたいという気持ちは強かった。
ペット禁止のマンションだったけど、入院しているそのネコのことが、頭から離れない。
やがて、名前をつけませんか、と言われる。
ノエルと名づけていっしょに暮らすようになって一年、筆者は妊娠。
生まれた赤ちゃんはノエルが大好き。
ノエルもまた、自分と同じ視線でハイハイする赤ちゃんと家族の絆を強めていく。
3本の足をなくしたネコの物語。
柳澤敦子さん作。