浅野真澄さんの初エッセイ。
このときはまだ声優と同じく、漢字の名前を使ってはる。
この人のエッセイは、もうこのときから独特の暖かさがある。
読んでいると、少しずつ暖めてもらえる。
こんなささやかなことに気づくなんて、と驚かされる。
例えばこんな文章、
窓からはときおり風が吹きこんで、教室の後ろに貼られた習字の半紙が、ぺらぺらと乾いた音をたてた。
また、弟の枕の話を読んで、昔母が作ってくれて捨てることができず、今でも押し入れのどこかになおしてあるはずの枕を探してみようと思った。
抜きん出たエッセイストだなあと思う。