金田理恵さん作。
とてもいいエッセイでした。
新潟の高田で1960年代を過ごした著者。
ぼくは一年違いだけど、子どもだったあの頃の空気が伝わってきました。
下のようなところを読むと、この人の文章にずっと浸っていたくなります。
町なかを歩いていて思わず引き寄せられるのは、白いペンキで塗られた藤棚やぶどう棚の残るベランダのある家だ。とたんにあたりの空気がゆるむようで、ぼうっと見上げてしまう。
誰だったか、生きた年の分だけ、生まれる前の過去が分かるようになるんだ、と話している人がいた。
声には、拠点に戻ってきた心安さがにじむ。
綱引きの時のオーエスの掛け声は、ぼくにもずっと謎だったのだけれど、ついにこの本が解決してくれました。
オーエスはフランス語で、それ引けの意味があるそうです。