眞島めいりさん作。
みつきの学校は、飯田線沿線の山の中の小さな学校。
複式学級だが、みつきの学年はみつき一人しかいない。
五年生で山村留学生の行人が転入してきたが、みつきは仲良くなろうとしない。
留学生は2年と限度が決められている。
仲良くなったとしても、すぐに出ていくのだ。
四年生の時にやってきたいずみちゃんとは双子のように仲良くなったが、夏休み明けにいなくなっていた。
それからみつきは、期待しないようにしているのだった。
ところが行人は、親元に戻ることなく、ずっとみつきの村で高校生まで過ごすことになる。
物語は、高校を卒業するところから始まって、小学生や中学生のときの出来事が、映画のように行ったり来たりしながら進む。
高校3年の春、
みつきが行人に謝る場面がよかった。
「ごめんね。」
行人の肩がぴくっと揺れた。
「なんでみつきが謝るの?」
「つらい思いしてここに来た子に、そっけなくしたから。小五のとき。」
わたしの答えを聞いて、ああ、とうめくように言った行人は、あのころの記録をめくるように目を泳がせる。
「うん、まあ。最初はちょっとよそよそしかったかも。」
「ごめん。」
「でも、赤い手袋貸してくれたよ。」
「ええ?・・・貸したけどさ、あんなのでチャラにならないでしょ?」
「なったよ。じゅうぶんすぎるくらい、なった。」