いちばんべったこ

tabi noti dokusyo tokidoki guti

それでも人のつもりかな

有島希音さん作。

挿し絵は、この人の娘の流亜さん。

 

中学生や高校生の知り合いがいたら、ぜひすすめたい一冊です。

大人の人にも、読んでほしい。

 

主人公は、北海道南西部の山すその広がる町で暮らしています。

 

あたし、なんで生まれてきたんだろう。

こんなことして、どうして生きていかなきゃならないんだろう。

そう考えたとき、あたしの身体にビカビカッと電流が走った。

〈それなら、生きていかなきゃいいんじゃない?〉

まるで一筋の光のように、それはあたしの心のすきまにすうっと入りこんできた。

存在を消されなにもないと思っていたあたしに、まだ「死ぬ」という権利が残されていた。あたしのなかにいっきに光がなだれこんできた。

 

そんな主人公が、かすかな希望を見つけるまでの物語。

 

ハンノキの  それでも花の  つもりかな

 

一茶の句の心に触れる、最良の書かもしれません。

 

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