竹内玲子さん著。
著者は、ニューヨーク在住のエッセイスト。
躍動感のある文章で、どんどん引き込まれます。
チョビは大型犬のシベリアンハスキーの女の子で、16年8か月を著者といっしょにマンハッタンで過ごした。
最後の章は看取りと別れで、急に訪れた異変と動物病院で手術や治療を受けながら弱っていく姿と著者たちの想いが描かれている。
もう立ち上がれないのに、少しの変化に一喜一憂し、もしかしたら持ち直して永遠にこの状態が続くのではないかと思ってしまう。
その気持ちは、とてもよくわかった。
次のような一節を読むと、竹内さんはこれからもずっとチョビといっしょなんだなと思えてくる。
そして、チョビ本人は何があっても変わらず、飄々といつも通り普通に存在していた。
今日も明日も、チョビにとっては普通の毎日。こんなに大変なことが起こっても、そこにある自分の命は、やっぱり普通にそこにある。何があっても、ただ淡々とそこにある。
チョビのノンキそうな脳天の毛を見ながら家路をたどったあの日のことを、今もよく思い出す。ちょっといがらっぽい空気の匂いとチョビのチャッチャッチャという足音と一緒に。
最後の最後まで淡々と生きたチョビから、学ぶことはいっぱいあるような気がします。