岩瀬成子さん作。
この人らしく、子どもの気持ちがリアルに描かれている。
「子どもらしい」というのとは、ちょっと違う。
子どもだって大人のようにずるかったり、ひねくれてたりする。
そのへんがリアルです。
物語は、一貫してジメジメと暗い。
最後の最後で、ようやくみんなの気持ちが穏やかになり、ホッとできる。
主人公は黒が好きで、いつも黒の服を着ている。
主人公と同じマンションに細田くんが引っ越してきた。
そのマンションには脇山さんというルールにうるさい人がいて、細田くんちが犬を飼っていることを知られてはまずい。
その犬トミオを飼ってもらおうと、佐々山さんの家に2人で出かけるが、チラシを配ってくれたらと逆に頼まれる。
何回か会ううちに、佐々山さんに疑いを抱く主人公。
細田くんは、飼ってもらうために佐々山さんを信じたい。
佐々山さんが悪い人だという証拠を見つけようとやっきになるうちに、主人公と細田くんの気持ちが離れてしまう。
お母さんにもお姉ちゃんにも、となりの仏壇屋のおばあさんにも、犬のことはひみつだ。
マンションで飼えない犬のトミオはどうなるのか。
主人公と細田くんの関係は、はたしてよくなるのか。