むかしむかし、大きな森に、貧しい木こりの夫婦が住んでいた、とおとぎ話のように語り始められる。
ジャン=クロード・クランベール作。
世界大戦の時代、舞台はフランスだ。
「くすんだ緑の制服の連中」に支配され、強制労働を強いられる。
黄色い星をつけさせられたユダヤ人は、小さな格子の窓しかない貨車に乗せられ収容所に運ばれていく。神殺しの罪がある上、金儲けのうまい泥棒と差別迫害されて。
双子の赤ちゃんも貨車に乗せらていた。
1人だけでも助けたくて、お父さんは近い方の赤ちゃんをショールに包み、貨車の小さな窓から雪の中に投げ落とす。
子どものいなかった貧しい木こりのおかみさんが、神さまからの贈りものだと赤ちゃんをひろって大変な苦労をしながら育てる。
もう一人の赤ちゃんとお母さんは、収容所に着くなり選別されて煙になり、空にのぼっていってしまった。
お父さんは、どうして家族一緒にいなかったんだと嘆く。
おかみさんは、食べさせるものに困ったり、木こり仲間や民兵から赤ちゃんを取り上げられそうになるが、森の中でひとりで暮らす老人に助けられる。
やがて戦争が終わり、生き延びたお父さんは我が子を探しにいく。