咲沢くれはさん作。
4つの物語が収められています。
五年後に
渡船場で
眠るひと
教室の匂いのなかで
の、四編。
「渡船場で」から読みました。
主人公は鶴浜中学に通う教師。
数年後に廃校になる今の学校の子らにどう寄り添うのか、なかなか考えがまとまらないまま過ごしている。
バスよりも時間がかかるが、渡船で対岸へ渡る帰り道は、ホッと気の休まる時間。
待合のベンチで、いつも息子の帰りを待っているお婆さんがいた。
読んでいくうちに、この渡船場は千歳渡しだなと確信が深まった。
対岸まで400メートルというのも、ピッタリだ。
作者が、市内の中学に11年間勤めていたというなら、もう間違いない。
他の3編も、それぞれ性別は違うが、中学教師が主人公だった。
熱血教師でない、これらの普通の先生の暮らしが愛しくなる物語です。