新十津川物語、第3巻。
フキの娘のあやは、フキが北海道に入植したのと同じ年頃になった。
この巻から、あやが中心に物語が描かれ始める。
開拓がようやく軌道に乗り始めた頃、豊太郎が日露戦争に召集される。
生きて帰ってきたものの、体を壊して寝たり起きたりになってしまった。
そんな時にフキを助けてくれたのは、元囚人の前田恭之助だ。家族同然に日々の暮らしを共にする。
いくつかの冬を越えたが、そのたびに吹雪に命を落としそうになる。
馬の背も見えなくなるほどの地吹雪で、普段とは違う冷え込みを感じ、馬橇の上で眠気と闘いながら方向もわからなくなったとき、手綱を離すのが一番の方法だったそうだ。
馬の青葉号や若葉号が、家まで連れて行ってくれた。
やがて、フキの家族に迷惑がかからないように、前田恭之助は姿を消し、豊太郎は役場の仕事をすることになり、開墾の大事業はフキの肩にのしかかってくる。