いちばんべったこ

tabi noti dokusyo tokidoki guti

かずさんの手

佐和みずえさん作。

みかのひいおばあちゃんは、96歳になる。

亡くなる少し前に、手の話をしてくれた。

ずっと昔、ひいおばあちゃんにも赤紙が来て、長崎の海軍病院で働いた。

八月九日、ずっと働き詰めでようやく遅い朝食を食べているときに、ピカッと光って大きな音がした。そして、キノコ雲を見た。

しばらくして、トラックでたくさんの人が運ばれてきた。みんなひどいやけどで「お母さん」と言いながら亡くなっていく人が多かった。その人たちの手を握って、お母さんになってあげたのだった。

 

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