未来は、お母さんの生まれた国に行くことになった。
それはカンボジア。
お母さんはポルポト政権時代に難民となり、お兄さんとともに日本に来た。
今回は、そのお兄さんともうひと家族とともに、カンボジアを訪ねることになったのだ。
もうひと家族の麻衣ちゃんもお母さんがカンボジア人だ。
直行便はないので、ホーチミンで乗り継いでシェムリアップに着く。
未来たちは、そこでお母さんたちがどうして日本に逃げてくることになったか詳しく聞くことになる。
インドシナ戦争に対するアメリカの介入が終わりホッとしていた頃、突然ポルポト軍の兵士が家に押し入ってきて、今すぐにプノンペンから出ていくようにと指示された。お父さんは教師をしていたので、連れていかれた。新しい国づくりのために働いてもらうという名目だったが、二度と帰ってくることはなかった。
公務員や医師など、知識のある人たちは大量虐殺された。メガネをかけているだけで捕まった。
未来のお母さんは逃げる途中に家族とはぐれ、酷い目に遭いながら生き伸びる。奇跡的に兄と再会し、タイの難民キャンプまで行くことができた。そこで優しくめんどうをみてくれたのが国連の日本人スタッフだった縁で日本に来たのだ。
麻衣ちゃんのお母さんも家族と離れ、ストリートチルドレンとなって放浪の生活を送った。
世話をしてくれる人もいたが、家族を探すために放浪を続け、ベトナム国境近くまで来て病気のため倒れてしまった。
ここで死ぬのだと思ったが、助けてくれた人がいて、ベトナムのストリートチルドレンの収容施設に保護された。助けてくれたのは、国連の日本人スタッフだった。
悲惨な歴史が繰り返されたのだが、なんとかしようとした人もまたたくさんいたことを忘れないようにしよう。