一木けいさんの作品。
四つの章からなっている。
ひとつめは、千映が娘の恵を不安いっぱいで育てている。夫の宇太郎は、毎晩飲み歩いて帰って来ない。
ふたつめは、過去。千映のお母さんの視点。千映が幼い時、家族はとても幸せだったのに、生活のために父親が会社に勤め始めてから、歯車が狂ってくる。
みっつめは、千映の父親の視点。これも過去。仕事のために酒浸りになってしまったことを、自分本位に言い訳している。
そして、さいごのよっつめが一番長いのだが、父親のアル中をなんとかしようとする千映の苦悩。
家族にアル中が1人いることで、耐え忍び、裏切られ、罪悪感に苛まれる周りの家族。
暗い気持ちは、どこにも持って行き場がない。