いちばんべったこ

tabi noti dokusyo tokidoki guti

9月9日9時9分

一木けいさんの2冊目。

この物語が伝えたかったことをどれだけ読み取れたか、まだまだ未熟な自分に気づく。

DVの心の傷は、時間が解決してくれるわけじゃない。家族といることが心の安らぎにならないことも悲しい。

国によって、数字に対するイメージが違うのが新鮮だ。9は、タイでは縁起の良い数字。

タイの人々がどれだけ王様に親しみを感じているのかわかる。

おおらかなタイの人々の関係を羨ましく思った。

それにしても、この作者の文章のうまさには舌を巻く。

もうどこのページだったか紛れてしまったが、タイの路地裏のお店で、扇風機が首を振って回ってる場面をスケッチしたような文章は、まるで絵を見ているようだった。

そのほかにも以下のような文。

 

 

『尖りかけた空気を包んで温めるような声で父が聴いた。

 

彼は私の顔を見てはいなかった。けれど、心はしっかり私に向いていることがわかった。

 

大丈夫と答えたけど、私の感情は分厚いすりガラスが一枚はさまったようで、自分でも大丈夫かどうかわからなかった。』

 

漣が、近い将来また朋温と会えることを願う。

 

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