いちばんべったこ

tabi noti dokusyo tokidoki guti

となりのアブダラくん

とてもよかった。いい話でした。

黒川裕子さん作。

アブダラくんが主人公かと思ったら、主人公は大場晴夜、小学6年生。

転校生としてやってきたのが、パキスタンから来たアブドゥルラッザーク・アバマド・カーン。

主人公は、無理矢理アブダラくんの世話係を頼まれる。

日本語はできないけどかっこいいアブダラくんは、最初はクラスのみんなからチヤホヤされるけど、イスラム教の習慣から自分だけ勝手なことをしてわがままだと非難されるようになる。

自分まで浮いてしまいそうで、アブダラくんを裏切ってしまう主人公。

そんな時に、アブダラくんの妹アシールのヒジャブをクラスの男の子が剥ぎ取ってしまう事件が起こる。

みんなと違うことで、そんな酷い目にあわされていいのか。我慢しなければならないのか。

男だからって空手を習わされている主人公は、実はニット編みが大好きで、そのことは隠している。

女子のリーダーも、髪の毛の色が違うといじめにあって学校に行けなくなった過去があった。

イスラム教の子だけ特別扱いするのはおかしいと学校に抗議する親たちの動きを知って、主人公は味方を増やして集会を開く。

アブダラくんがしたスピーチが痛快。

アッサラーム アレイコム・・・、

ウルドゥー語で話し出す。ネコスケ先生が日本語に通訳する。

アッラーの平安があなたたちの上にありますように。ぼくは、パキスタンからやってきた6年3君のアブドゥです。今日ぼくは、いいたい放題してやろうと思って、ここに立っています。」

「いいたいこと、その一。ぼくは日本語ができないだけで、ばかじゃない。いいたいこと、そのニ。ぼくは、あなたたちのオモチャでもない。ぼくにむかって赤ちゃんコトバをつかうそこのあなた。ペットみたいに勝手に頭をなでたそこのあなた。ベイビーあつかいはやめて、いじめなんてやめにして、アシールとぼくの目を見て、ちゃんと人間あつかいしてほしい。日本人の友達にするように、礼儀を守ってほしい。今度ぼくの妹をいじめたらーーーぶん殴りに行くからな。」

スカッとした。

物語の終わり方も、とてもいい。

 

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